Book

図工の先生のこと

お正月に友人から、うちの子へのお年玉代わりに児童書をいただいた。その本を見て驚いた。僕の、小学校の時の図工の先生の著書だったからである。 先生が児童書の作家になられている事は、しばらく前に知っていた。小学校の同級生だった(別の)知人が教えて…

パラレルワールド

パラレルワールド設定があまり好きではない。「その中で本当は一つ」ならいいんだけどどれもが同時に存在する、という奴がちょっとダメ。 どこでもドア哲学を初めて読んだ。ネタとしては結構古典的といえるのだろう。SF「ヴァーチャル・ガール」のメモリのコ…

小松左京先生

2011年7月26日に小松左京先生がお亡くなりになりました。僕はマニアと自称できるほど、そしてファンと公言できるほどには先生の作品を知ってはいませんが、それでもささやかながらに読んだ先生の作品には心から感銘を受けました。僕が、自分の生きる意味を考…

「不良中年」は楽しい

■「『不良中年』は楽しい」嵐山 光三郎(著)嵐山光三郎氏の著書は、古本屋でチェックする事にしているのだがこの本は最初「え、いやこれはちょっと」と手に取るのにためらいを覚えた。しかしページを繰ってみると阿佐田哲也氏との交流のエピソードなど書いて…

アド・バード

■「アド・バード」椎名 誠(著)2010年ももう3月となってしまった。じきに彼岸となり、また年度も新しくなるとあって、書きそびれているレビューを書いてしまう事にする。この「アド・バード」を読んだのは去年の年末。実はレビューも数行は書いたのだが、のろ…

搾取される若者たち

■「搾取される若者たち」阿部 真大(著)同じバイク乗りでありながら、僕はバイク便という職業についてあまりよく知らない。まずはその内幕を知りたい、というのがこの本に興味を持ったきっかけである。程度の差こそあれ僕も彼らと同じように都心をバイクで走…

ホメずにいられない

■「ホメずにいられない」福野 礼一郎(著)僕が福野礼一郎氏の文章に出会ったのは、雑誌「Begin」であった。この「ホメずにいられない」は初出が記載されていないので断言はできないけれど、読んだ事のあるような内容なので、これもたぶん「Begin」誌に掲載さ…

はるさきのへび

■「はるさきのへび」椎名 誠(著)以前読んだ「岳物語」「続 岳物語」は大変面白く、女房と二人で喜んで読んだ。岳にお姉ちゃんがいる事を知ったのはそのずいぶん後で、そう聞いた時にはご他聞にもれず目が飛び出るほど驚いたものであった。そのお姉ちゃんが…

バ・イ・ク

■「バ・イ・ク」柳家 小三治(著)古本屋でタイトルに惹かれて手に取った一冊。口述筆記で書かれたらしいエッセイは充分に整理されているし、口語の文体も噺家という意識があるから受け入れやすい。内容としてはバイク好きのおとっつぁんのよもやま話、といっ…

蟹工船・党生活者

■「蟹工船・党生活者」小林 多喜二(著)この本がブームになったのは、調べてみると 2008 年つまり去年の事らしい。折りから注目されだした「ワーキングプア」という概念にマッチする小説として再度脚光を浴び、2008 年の流行語大賞のノミネートの中にも名を連…

どくとるマンボウ航海記

■「どくとるマンボウ航海記」北 杜夫(著)僕がこの本を最初に読んだのは小学生の頃だから、もう2〜30年前の事である。ちょっとふざけたタイトルが気を惹いて、親父の本棚から手に取ったのだろう。読みやすい文体の旅行記は子供には理解しづらい部分もあったけ…

魚でごちそう

■「魚でごちそう」本山 賢司(著)この本はもう絶版なのだが、ネット上でちょっと見かけたコンセプトに惹かれてネットストアの古本で購入した。出かけた現地で魚介類を購入・その近所で調理して食べる、というテーマで一回につき見開きの魚のイラストレーショ…

素人庖丁記/素人庖丁記・ごはんの力

■「素人庖丁記」「素人庖丁記・ごはんの力」嵐山 光三郎(著)「文人悪食」にいたく感動し、氏の著作を読んでみたくなり購入した二冊。「ごはんの力」を先に買ったのだが、読み終わらないうちに古本屋で「素人庖丁記」を発見、ならば、と初代の方から読んでい…

美味放浪記

■「美味放浪記」壇 一雄(著)嵐山光三郎氏の著作を読んで檀氏を気に留めていたところ、古本屋のワゴンセールで背表紙が目に飛び込んできて購入。氏の代表作「リツコ その愛」「火宅の人」は未読なので順序が逆であるが。「檀流クッキング」というレシピ本(?…

あやしい探検隊 バリ島横恋慕

■「あやしい探検隊 バリ島横恋慕」椎名 誠(著)あやしい探検隊シリーズという事で、中も見ずに買った一冊。シリーズに惚れ抜いている、というわけでもないのだけれど暇つぶしとしては僕的に安全パイであるし、古本屋の格安コーナーでの買い物であるから楽しめ…

文人悪食

■「文人悪食」嵐山 光三郎(著) お金を使わないで恐縮ではあるが、またまたこれも図書館から借りてきて読んだ本である。きっかけはまたも、とある本の巻末の刊行物紹介頁。 僕は嵐山光三郎氏についてほとんど知らず、テレビタレント業を主体とする文化人か、…

面白南極料理人

■「面白南極料理人」西村 淳(著) とある本の巻末の、「弊社刊行物紹介」みたいな欄で興味を持ったので図書館から借りてきて読んでみた。南極での調理が話のメインなのかと思ったが意外にもそうではなかった。調理に関するエピソードもあるにはあったがどちら…

不味い!

■「不味い!」小泉 武夫(著) 最初は、結構読めると思った。大胆で力強い文章には説得力があり、「あぁ、そりゃ不味いだろうね」「あぁ、そういう不味いものってあるよね」、と。しかし途中から、ある事に気付いて楽しめなくなってきた。実は氏は、その異名に…

図解 さかな料理指南 と、カレイの煮付け

■今年に入ってから、読んだ本のレビューをいくつか書いてるけれどちょっと気になってるのは自分が書いてるのが「読んだ本に触発されて、考えた事」なんじゃないかって事。つまり純粋にその本の感想、紹介じゃないんじゃないかって事。辞書によるとレビューと…

トコロテンの夏 と魚料理

■「トコロテンの夏」沢野 ひとし(著)沢野氏は椎名 誠氏の著作の挿し絵で結構前から知っていたけれど、氏の文章を読んだのは昨年末に読んだ「少年少女絵物語」が初めてだった(いやもしかしたら誰かの本の解説とかで読んだかもしれないが)。その「少年少女…

図解 焚火料理大全

■「図解 焚火料理大全」本山 賢司(著) 図書館で借りた「旅のむし・腹のむし―アウトドアフィールドノート」のイラストがとても温かみのある素敵な水彩イラストレーションだったので、著者を調べて購入した一冊。なんだか懐かしいような気がするのは、子供の頃…

あやしい探検隊不思議島へ行く

■「あやしい探検隊不思議島へ行く」椎名 誠 (著)「わしらは」「北へ」と読み、一つ飛ばして「焚火酔虎伝」と読んだ後に後戻りしてきて読んだ一冊。 探検隊シリーズは、僕の目指す旅行とスタイルのかぶる所もありなかなか面白く読んでいる。「ヘボい」「ユル…

見よ 月が後を追う

■「見よ 月が後を追う」丸山 健二 (著) ネット上の書評を読んで気になり、図書館から借りてきて読んでみた一冊。僕は丸山健二の著書を読んだ事はなく、したがってこの本の文体、それに調子が氏の特有の物なのかどうかはわからない。だからこのレビューはこの…

白夜行

■東野圭吾「白夜行」を読んだ。僕が氏の小説を読むのは「さまよう刃」に続いて二冊目だ。「さまよう刃」がたいへん気に入ったので、女房が図書館で借りてきた「白夜行」を次に読ませてもらったのだ。ドラマにもなったそうだが予備知識はいっさいなく読めた。…

影響されるね

■午前中から村上春樹の「海辺のカフカ」を読み始める。 二ヶ月ぐらい前に通勤の満員電車の中ですぐ前の男性が読んでいたのがきっかけだ(僕は電車の中で他人の読んでいる新聞や雑誌を覗き込むのはちょっとはしたない事だと思っているんだけれども)。 その時…