図解 焚火料理大全

■「図解 焚火料理大全」本山 賢司(著)
図書館で借りた「旅のむし・腹のむし―アウトドアフィールドノート」のイラストが
とても温かみのある素敵な水彩イラストレーションだったので、
著者を調べて購入した一冊。
なんだか懐かしいような気がするのは、
子供の頃に親しんだ野外入門書や動植物図鑑などの
精緻な挿絵を思い出させるからかもしれない。
さて内容は、アウトドアクッキングに寄った料理紹介の本である。
だが気をつけなければならないのはレシピ本ではないところで、
材料の分量は記されていないし、工程もはしょられたりしているしで
(ひどいところでは「焼く」と書かれていないところがあるw)、
この本を読めばいろいろ料理が作れる、と思ったら大間違いだ。
とはいえ当事者がよければ万事 OK だというスタンスは実に気持ちがいい。
そう、定量に縛られる事なく、味見して加減していけばいいのだ。
簡単すぎるような調理内容も、アレンジのベースと考えればよさそうである。
一つの料理にそれぞれほんのちょっとしたコラム的な文章も添えられており、
読者が想像を膨らませる事を手伝ってくれる。
非常に楽しめる一冊である。
ただ、メニューは確かに調理の簡単な物ばかりなのだが
必ずしも万人向けというわけではない。
複数名なら躊躇なく使える食材・調味料でも
ソロとなると、無駄にしたくなくて二の足を踏む、
だから作れない料理…というのも多数掲載されている。
車か、もしくは分担して担いでくれる仲間が必要…というような事例もある。
もっとも、難しければ自宅で作ればよいのであって、
その事がこの本の価値を下げているとも思えない。
この本の雰囲気、何かに似ているなと思ったら
昔流行った「セイシュンの食卓」に似ているのだった。
なるほど、と思った人は読んで損はないかも。