あやしい探検隊不思議島へ行く

■「あやしい探検隊不思議島へ行く」椎名 誠 (著)
「わしらは」「北へ」と読み、
一つ飛ばして「焚火酔虎伝」と読んだ後に後戻りしてきて読んだ一冊。

探検隊シリーズは、僕の目指す旅行とスタイルのかぶる所もあり
なかなか面白く読んでいる。
「ヘボい」「ユルい」「むさ苦しい」のが妙に魅力的なのだが、
この「不思議島」は読後感がちょっとゲンナリしてしまう一冊だった。

元々は「週間宝石」の連載だった物をまとめた書籍らしい。
いろんな島に行く、という週刊誌のテーマは
「あやしい…」シリーズを通してのテーマにも一応沿うはずなのだが、
どうしたわけかこの本の中の由利島、猿島、浮島、竹生島という
半分以上のエピソードが、もう圧倒的にトホホなんである。
氏はそこをグッとこらえて
トホホをエンタテインメントに昇華しようと奮闘したみたいだけれど、
なんか虚しいのがバレちゃっている気がするのである。
焚き火の周りを踊る写真もなにやら寂しくて侘しい。
「島」というテーマは結構なんだけど、
「島に行けば何とかなる」という物でもない、という事だろうか。
でもってスリランカモルジブ編なんだがこれは意に反してナカナカ面白かった。
けれどやっぱり海外紀行文になっちゃってて、
「あやしい…」を読みたい向きには肩透かしかもしれない。
総合すると、アウトドアに憧れている一見のお客さんには
結構読みやすくて面白いかもしれない一冊であるが、
アウトドアに出かけられないウサを読書で晴らそう、という向きには
お薦めできない、という感じだろうか。
週刊誌の連載ゆえにそういう方向性にされているのかもしれないけれども。
まぁしかし僕の購入したのは BOOK・OFF の \105 コーナーなので、
文句を言える筋合いでもないのだった。