2012年時点のサイパン旅行はお手頃ではない。

12月の頭に、4泊5日でサイパンへ遊びに行ってきた。
もともと深夜特急的な旅よりもビーチリゾート派だったのだが
結婚して子供が増えたり景気が極端に悪くなったりで
最後に海外に行ったのは2003年のテニアンだから、9年ぶりという事になる。
この時期を選んだのは、雨季から乾季に変わったところであり、
なおかつ年末のハイシーズン前で
旅行代金が安いという事を両立した期間だからであるが、
そんな賢明なプランを立てたのは妻だ。
実を言うと旅行の資金も、彼女の生命保険の生存給付金であり、
それまで健康だった事へのご褒美として彼女が希望した旅行なのであった。
まぁそんなわけで僕としてはタダ乗りに近い事でもあるし、
自身のこうしたい、ああしたいという希望はほとんど持たずに旅立ったのであるが、
先に書いたように空が青くて海が青くて、
泳がずにいられないぐらい暑ければ幸せな性格なので
割と満足な旅行だった。
しかし、正直言うとサイパン旅行というものを
以前よりも自分の中で相当格下げしたので、その事を記しておきたい。
とにかく、サイパンは物価が高い。
「高いと言ったってアジアンリゾート程安くない、という程度でしょ」
と思っている人がいるかもしれないけれど、
庶民レベルの生活必需品で言えば(庶民レベルしか知らないが)
2012年時点の日本より高い事は確実だ。
まず食事が高い。
朝が15ドル、昼が10ドル、夜が20ドルで食べられる所があるかどうか。
それで食べられるのは決して高級な物じゃなくて、
僕の主観で言うと「ペッパーランチ」「ガスト」ぐらいの感じだろうか。
それが「フォルクス」並みの代金を取るので、どうにも高いと感じてしまう。
忘れてはならないのが「サービス料・チップ」だ。
確か一人およそ20ドル以上の飲食の場合にサービス料が発生し、
サービス料・チップ共に 10% が目安であるから
ともすると2割増しでの支払いとなるが、これはかなりパンチ力がある。
サービス料を払った場合にはチップは不要とする事もあるようだが
チップに不慣れな我々の場合、チップの要不要の判断が難しい。
ガラパン地区ではフードコートのような所で軽食を売っているので
腹を満たすだけならもう少し安く済ませる事は可能なのだが、
サイパンの軽食というのは甘ったるい焼鳥だったり油ぎった揚げ物だったりで
夕食もそれで済ませるのはちょっと辛い。
……僕の好きなテニアンサイパンよりさらに物価が高いというが、
……「JCカフェ」という素晴らしい店があったので、とても幸福だった。
そう、サイパンでもローカルな人たちが利用するレストランは
きっともっと安いメニューを揃えているんだろうけど
それらを利用するのに足代がかかるのではどうしようもないし、
もう若くないので安全と言われる所以外にはあまり足を踏み入れたくない。
では食料を買い込んでホテルの部屋で食べるのはどうかというと
うーんまぁ可能ではあるし僕も朝食はそうしたけれど、
生ゴミや汚れた容器ゴミが出てしまうのが困る。
そいつをルームメイキングの人に片付けさせるのはちょっと心苦しい気がする。
それに、部屋には簡易湯沸かし器しか火の気が無いので
肉っ気のある物を食べようと思ったら、缶詰ぐらいしか選択肢が無い。
缶詰にしたってちょっとした物だと1缶7ドルとかする。
スーパーマーケットにも行ってみたけれど、
精肉も加工肉(ソーセージとかハムとか)も冷凍で売られているので
あれはちょっとどうにもならなさそうである
(ちなみに冷凍肉は相当安い。肉のレベルは推して知るべしだが)。
買い込むといえば酒も高い。
日本の酒屋のディスカウントされた値札を見慣れた目には信じられないような値段だ。
僕は普段ウイスキーを飲むのだが、20ドルで買えるウイスキーサイパンにはない。
米国産のバーボンウイスキーであっても20ドルでは買えない。
妻はワインを買っていたが、それも1本10ドルでは買えないのである。
しょうがないので僕はビールを飲んでいた。
ビールだけはかなり安い。
バドワイザーの350缶で1ドル75セントとかだ。
でも本当はウイスキーが飲みたかったので、
出発時の成田の免税店で買うのを忘れた事がとても悔しかった。
サイパン現地のDFSやサイパン空港では、とても高級なウイスキーしか扱っていないのだ。
食事に関してはひとまずこのぐらいにする。
免税のブランド品などには興味のない僕だけれど、
実は密かに、海外で買い込みたい物があった。
リーバイスジーンズである。
昨今の円高のせいで景気はどうしようもないほど悪いけれど、
海外で買い物をするには非常に有利だから、サイパン旅行が決まった後に
僕は http://us.levi.com/ を見てジーンズの価格調査をしたりしていた。
サイトを見ればわかる通り、リーバイスは本国では日本よりもずっと安く売られている。
そこに円高が係ってくるのだから買いこまない手はない。
サイパンにもリーバイスショップはある。
DFS のテナントではなく、ガラパン地区の路面店だ。
意気軒昂に行ってみると、これがさほど安くない。
とりあえず US のサイトで見た価格とは相当乖離している。
米国の値段と日本の値段のどちらに近いかというと日本の値段に近い。
リーバイスですら嗜好品に入るからではないのか、と思ったが
スーパーマーケットで売っているバスタオルは15ドル。
紙質の悪いリングノートが2ドル50セント。
日用品にしたってやはり高いのである。
ちなみに行ったスーパーはハファダイ。
ジョーテンには行かなかったが、似たようなものだろう。
「安い雑貨がいろいろ買えたりして!?」と期待したりもしたが、
日本のホームセンターや100円ショップと比べると
どれも高いなぁというのが正直な気持ちだ。
要するにサイパンは合衆国とはいえ、片田舎の自治領なのだ。
「北海道、沖縄、離島を除く」と同等というところか。
サイパンは以前、1996年に一度訪れている。
しかしその時は家族旅行で、恥ずかしながら旅行費は親持ちだったので、
物価などはさして気にしていなかった。
まさかこんな観光地値段もびっくりな物価だとは。
それでも、海は遠浅で綺麗で明るい。
恋人とバチャバチャやるにはぴったりなシチュエーションだ。
マニャガハ島は今でも屈指のビーチだと思う。今回は諸事情で行かなかったけど。
だけど、遠浅の波のない海は意外につまらない。
それに、ナマコ多過ぎ。
日本国内の優れたビーチを僕はあまり知らないけれど、
伊豆も下田まで行くと相当きれいな海だし、
少し前に訪れた長崎の平戸の海は驚くほどの青い海だった。
「沖縄よりグアム・サイパンのほうが安くつく」等と言われた時期もあったけど、
パスポート取得や成田までの交通費を勘定すると
あながちそうも言いきれないんじゃないだろうか。
12月に夏を感じる、という事にはむろん価値はあるけれど
時期に余裕があるならば、
サイパンより充実できる旅は結構あるんじゃないだろうか、
旅の収支決算をしながらそんな風に考えた。
もっとも、前述したようにおおむね満足した事は本当である。