挫折と青春

■「海猿」を見た。
もちろん地上波を録画の上で通勤中にPSPで、である。
いちいち断るのも面倒なのだが、
規制が入ってたりカットされてたりで
僕が本来の映画とかけ離れた物を見た可能性があり、
的外れな批評をするかもしれないから
最初にお断りを入れる次第である。
しかしいい加減面倒なので、今後はデフォルトが
テレビ版と思ってもらっても構わないぐらいだ。
そもそも昔はテレビ版が基本であり、
例え映画館に見に行った映画であっても
テレビで放映される頃には記憶も薄れがちで
その差異点などあまり気にされなかったし
だからこだわりのマニアのウンチクが幅をきかせたりしたのだが
ところが今や、テレビ版の編集は
番組放送時間の枠に収めるためではなく
(チャンネルを変えられる事のないよう細工を施しながら)
CMをどれだけ多く入れこめるか、
そこだけを考えて行われているに違いないと僕は思う。
どうせジジババしか見ないよ。
若い奴はとっくにレンタルか衛星、ケーブルで見てるよ。
そうでなきゃ物を食いながらのザッピングで、
タレント俳優だけがお目当て、
ストーリーなんて追いかけてないさ。
そんなディレクターのぼやきが聞こえてきそうだが
しっかりしろ、HDDレコーダーやDVDレコーダーの普及によって
人は「2時間超えたら3倍速の荒れた映像」から解き放たれているし
メディアだってビデオカセットの低価格化のスピードを
はるかに上回る早さで安くなっている。
CMをカットする作業だって、早送りや巻き戻しが早くなり、
繰り返し再生による劣化もないから楽チンだ。
おまけにタイミングとしては
TVゲームやネットに流れた視聴者が
モバイル動画ビュワーやワンセグによって
動画コンテンツに戻ってくる、いやそれを再発見する瞬間なのだ。
毎日の物だから有料コンテンツはなるべく避けたい。
となるとまさしくTVの復権じゃないかと思うのだ。
それなのにいい加減な適当仕事をしていては、チャンスを逃すよ。
新聞のTV欄で見たい新し目の映画を見つけても
ほとんどが地上波じゃないじゃないですか。
CMをカットする、早送る奴が何を言うかと言われそうだが
強引なCM挿入に民衆が屈服している時代は終わったのだから
CM収入はもう諦めてほしいのよね。
ついでではあるが
CMをカット・早送りできない技術が生まれたけれど
人が席を立つ・目を閉じる事を阻止できないかぎり
まったく意味をなさないだろうし、
なんらかの形でいたちごっこが続くだけだろう。
CMへの反応をフィードバックしないと
本編を視聴できないようにするのが唯一の方法だと思うが
民衆に背を向けられるのは目に見えている。
クライアントもそれは望まないだろう。
もう、奥歯を噛み締めながら愚順に、大衆に奉仕するしかないんだよ、
生産しないサービス業は。
えーさて「海猿」ですが、まんま「トップガン」です。
そういえば伊藤君はトム・クルーズに少し似ている気がする。
まぁ黄金パターンなので過去に腐るほどあったろうけど。
士官の制服のイメージがかぶる
「愛と青春の旅立ち」はどんなだったっけ。今度見返してみよう。
それは置いといて、訓練生に救出の号令がかかるところでは
やっぱり胸にぐっとくる物があった。
その感動で、やっちゃった感をごまかしてはいるが
査問会議で指摘された通り、
二次遭難していたら、二人が助からなかったら、
残りの訓練生もそして映画の観覧者も
それでよかったのか悩むだろうし、
ストーリーとしては、まぁ甘いよね。
ただその辺さえも、「発砲許可」や「突入命令」、
「無免許執刀」に「謎の生物との接近遭遇」と、
古今東西幾度となく行われてきた無謀な出来事の一つでしかなく
もはや何を今さら、である。
そうして二人は新たな人生を共に歩み始めたのでした。
まぁでも結構面白かったですよ。