PSP狂想曲

PSPの第二回出荷の予約ができて数日経った。
気持ちもだいぶ落ち着いたところで
今回のPSP発売騒動に関する僕の動きや心情の変化をまとめておこうかと。
当初というか、PSP発表の時から僕は当然のように即購入するつもりでいた。
もちろん「初期不良」「ソニータイマー」という言葉は身をもって知っていたし、
ゲーム機において後からもっといい物が安く出てくることもわかっていて、である。
僕はいい年をした中年で、もはやゲーマーではないんだけれど
それでも有望なゲームハードに「自分が対応したい」という気持ちが強く
また、初期型がモデルチェンジされる時に「スペックダウン」する可能性がある事
(例えば海外メディアを読まなくなるとか)を憂慮したからである。
携帯できる視覚ハードという物には僕は昔から弱くて、
もっともそれは世の日本人男性の多くが同じかもしれないが、
子供の頃に自分が独占できるテレビを夢見たり、
掌に収まるインベーダーゲームを想像したりしたところから始まっているのかもしれない。
ウルトラ警備隊のリスト型テレビ電話が引き金だったのかもしれないけれど。
さて、僕の携帯ゲームの歴史は実はほとんどない。
何を隠そう、今までに持っていたのは最初期型のゲームボーイ(でかい奴)だけである。
キーホルダー型のテトリンなんかは持ってたけど。
いったい何年ぶりだというのだろうか、新しい携帯ゲームハードは。
その間の期間というわけでもないのだが、
ここ2年ぐらいに活躍していたのは携帯電話のゲームアプリである。
もうそろそろ買ってもいいだろう、と思っていた。
ゲームという物はソフトあっての物である。やりたいソフトがないのにハードを買うのは愚の骨頂だ。
その点でも僕には「リッジレーサーズ」という名目がある。
4年ぶりの新作。待ちに待ったレイブレーサーのコース。「あの」BGMで美麗グラフィックを遊べる。
さらに、「みんなのゴルフ」も出るし。
2004年12月12日の発売日を前に、
公式?購入予約(PS.com)、正確にはプレ予約に僕は失敗する。
というか仕事の都合でネットでの受付にアクセスできなかったのだ。
新潟地震のチャリティーオークションなんてのも開催されたけどスルー。
入手に対してそれほど悲観していなかったのだ。
朝から並べば手に入るだろう、ぐらいに思っていた。
トイザラスは予約を受け付けなかった。入荷数が不明だったかららしい。
大手販売店が予約を受け付けなかった事で、ますます当日勝負、と思っていた。
発売日前日、朝刊に入っていたヤ○ダ電機のチラシにPSP予約受付中の文字を見つけた。
予約の受付を見るのは初めてだった。開店前から行って、開店と同時に予約の事を聞いてみた。
予約は締め切られていた。
僕は広告で食っているから今日の折込みに対して責任を持たない事に問題があると思い、
どうかすればどうかなるかと思ったが、ふと我に返った。
中年の僕がここで騒ぐのはいくらなんでもヤバ過ぎる。その時、すーっと何かが冷め始めていった。
夜になり、明日の早朝購入の行列に備えて2ちゃんねるで情報を仕入れようとアクセスしてみる。
徹夜するのは、新宿でせいぜい数十人かと思ったが実際にはその想像をはるかに超えていた。
初期出荷は20万台。日本は47都道府県。40県としても1県5千台。
有名大手量販店の店舗は各県50店舗ぐらいはあるだろう。1店舗100台。
東京だけ倍の割り当てと考えても1店舗200台。
絶対無理。今からじゃ買えない。そう思った。でも未練たらしく、徹夜スレを何度もリロードし、行列人数が増えるのを確認した。
購入をあきらめて朝寝するつもりだったのに、発売日当日は6時に目が覚める。
ヨドバシはもう販売が始まっている頃だ。2ちゃんにアクセスする。
…驚いた。皆が「今から来ても間に合う」なんて言っている。
予想を大幅に超える数量が入荷されたらしい。
しかし「今から来ても」とはいったいどの範囲の人間に言っているのか。
新宿まで1時間を楽に越える家に住む僕はおそらくその中に入っていまい。
それにそろそろ小学生(親子連れ)が動き出す頃で、
動き出したらよりいっそう終わりが来るのも早くなる。
僕は完全にしてやられたのだった。
しかし実はこの失態が僕の情熱不足にある事もわかっていた。
本当に欲しかったら、僕は絶対に手に入れていたはずなのだ。
努力不足、情熱不足。
焦りと自分への嫌悪感に辟易しながら、車で近所のセブンイレブンに行ってみる。
当然のように影も形もなかった。たまたまコンビニで手に入れるなんて、夢のような話なのだ。
10:00の開店に間に合うように、最寄り駅のTSUTAYA
コジマ電気、小さなゲームショップも覗いてみる。
どこも入荷がないか、整理券や予約分でいっぱいで当日分はない状況だった。
ここからは自分への問いかけが始まる。心理学的には適応機制(http://www.eps4.comlink.ne.jp/~townjoho/health/kenkou1-13.htm)という。
買えなかったけどさ、買えなくてよかったかもよ?
初期出荷は避けて正解だったかもしれないよ?
そもそもそんなに欲しかったか?欲しい気分だっただけじゃないの?
PS2もろくにやってないのに、PSPが必要なのか?
どこでやるんだよ。電車ではやらないだろ?
家の中だったらPS2やればいいじゃん。
リッジそんなにしたいか?スペックはPS2以下だぞ?
ネジコンもGTフォースも使えないんだぞ?
その日はずっとボーゼンとしていた。
ボーゼンとしていたがamazonは一応チェックしていた(逃した)。
そして気持ちに区切りをつけた…はずだった。
なんかテレビでめちゃくちゃPSPのCMやってるんですけど。
「一二、一二、一二、一二…」ってお前、買いたくても買えへんやないか!!
死ぬほどムカついた。
翌日13日、第2回PS.comのプレ予約開始時間、
会社の端末の前でスタンバっている僕がいた。
そして予約は成功した。
今、家のテレビの横にはリッジのソフトと512MBのメモステ
リモコンヘッドフォンと液晶保護シートがある。
それでよかったのだ。たぶん。